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みんなで支える情報サポートのお話

  • 2025年6月22日
  • 読了時間: 10分

 私たちの周りには、たくさんの音や声があふれています。でも、耳の聞こえにくさで困っている方がいることを、あなたは知っていますか? 見た目では分かりにくいので、「見えない障害」なんて言われることもあります。


 テレビの音、駅のアナウンス、友達とのおしゃべり…。音が聞こえにくいと、毎日の生活や、社会のいろいろな活動に参加するときに、情報がうまく伝わらなかったり、お話がしづらかったりすることがあります。


 そんな困りごとを少しでも減らして、耳の聞こえ方に関わらず、誰もが必要な情報を同じように手に入れて、分かるように、そして使えるようにするための工夫やお手伝いのことを「情報支援(じょうほうしえん)」と言います。なんだか難しそうに聞こえるかもしれませんが、みんなで「どうしたら伝わるかな?」と考える、思いやりの工夫なんです。


 この記事では、耳の聞こえにくい方をサポートするための、いろいろな情報支援の方法について、一緒に見ていきましょう。


 どんなサポート方法があるの? いろいろな情報支援のかたち

情報支援には、たくさんの種類があります。その人の聞こえ方や、どんな場面かによって、ぴったりの方法を選んで使うことが大切です。


1. 「手話」でお話しを伝えるお手伝い:手話通訳(しゅわつうやく)


 手話は、手の動きや顔の表情、体の動きを使ってお話しする「目で見る言葉」です。特に、手話を小さい頃から使っている「ろう者」と呼ばれる人たちにとっては、とても大切なコミュニケーションの方法なんですよ。


手話通訳は、声で話されている言葉を手話にしたり、手話を声の言葉にしたりして、お互いのお話がスムーズに伝わるように助けてくれます。


どこで活躍するの?:

講演会や会議、学校の授業、病院で先生とお話しするとき、役所の手続きなど、いろいろな場面で手話通訳の人が活躍しています。最近では、インターネットを使って、遠くにいる通訳さんとお話しできる「遠隔手話通訳」という便利な方法も増えてきました。


良いところは?:

ろう者の人にとっては、一番分かりやすく、気持ちや細かいニュアンスも伝わりやすい方法です。


知っておくと良いこと:

手話通訳をお願いするには、通訳してくれる人を探したり、お金がかかったりすることもあります。また、手話を知らない聞こえにくい方には、別の方法が良いかもしれません。


2. 話し言葉を「文字」で見えるようにするお手伝い:要約筆記(ようやくひっき)・パソコン文字通訳


話している内容を、その場でパパっとまとめて文字にして伝える方法です。手話が分からない聞こえにくい方や、文字で情報を読みたい方にとって、とても助けになります。


どうやって伝えるの?:

手書きの要約筆記:紙やホワイトボードに、ペンで書いて伝えます。何人かで交代しながら書くこともあります。

パソコン文字通訳:ノートパソコンなどを使って、キーボードで文字を打ち込み、スクリーンやタブレットに映し出します。

どこで活躍するの?:講演会や会議、学校の授業などでよく使われます。手話通訳と一緒に行われることもあります。


良いところは?:

話の内容がその場で文字になるので、後から見返すこともできます。パソコンを使うと、たくさんの情報を読みやすく伝えられます。


知っておくと良いこと:

お話のスピードが速すぎたり、難しい言葉がたくさん出てきたりすると、書くのが追いつかなかったり、分かりにくくなったりすることもあります。書く人の技術も大切です。



3. 音声を「文字」にして記録するお手伝い:文字起こし・テキスト化


会議やインタビュー、授業などの声を録音しておいて、後からゆっくりと文字にする方法です。すぐに知りたい時には向きませんが、正確な記録を残したい時に役立ちます。最近は、AI(人工知能)が自動で文字にしてくれるサービスも出てきて、少しずつ便利になっています。


どんな時に使うの?:

会議のメモを作るとき、インタビューの記事を書くとき、授業の内容を後で勉強し直したいときなどです。


良いところは?:

正確な記録が残るので、何度も確認できます。


知っておくと良いこと:

その場ですぐに情報を知りたい時には向きません。人が文字にする場合は、時間やお金がかかることもあります。AIが自動で文字にする場合も、まだ間違いもあるので、人がチェックすることが多いです。


4. テレビや動画に「ことば」を表示するお手伝い:字幕(じまく)・キャプション


映画やテレビ、インターネットの動画などで、話している言葉や物音などを文字で表示するものです。


どんな種類があるの?:

クローズドキャプション:リモコンなどで、表示するかしないかを選べる字幕です。テレビ放送でよく使われています。

オープンキャプション:いつも画面に表示されている字幕です。映画館で、日本語の字幕が付いている映画などがこれにあたります。

どこで活躍するの?:テレビ、映画、DVD、YouTubeなどの動画、駅や街にある画面など、いろいろなところで見かけます。

良いところは?:耳の聞こえにくい方はもちろん、音が出せない場所で動画を見たい時や、内容をしっかり理解したい時にも便利です。

知っておくと良いこと:字幕を作るのには、時間やお金がかかります。また、文字の量や出すタイミングなど、作るのにも工夫が必要です。生放送にリアルタイムで字幕を付けるのは、技術的にも大変なことがあります。


5. 書いてお話しするお手伝い:筆談(ひつだん)


紙とペン、またはタブレットなどを使って、文字を書いてお話しする方法です。一対一や、少ない人数でお話しするときに便利です。


どんな時に使うの?:普段のおしゃべり、お店の窓口での簡単なやり取り、周りがうるさくて声が聞こえにくい時などです。

良いところは?:特別な道具や技術がなくても、誰でもすぐにできます。

知っておくと良いこと:お話のペースがゆっくりになることがあります。また、長くて複雑なお話には向いていないかもしれません。書くものと場所が必要です。


6. 聞こえを助ける機械のサポート:補聴援助(ほちょうえんじょ)システム


補聴器や人工内耳(電気の力で音を脳に伝える医療機器)を使っていても、周りの音がうるさかったり、話している人が遠かったりすると、聞き取りにくいことがあります。そんな時に、音をはっきり聞くための手助けをする機械です。


どんなものがあるの?:

磁気ループ(ヒアリングループ):話す人の声を電気の力で特別な場所に送り、補聴器で直接キャッチできるようにする仕組みです。周りの騒がしい音があまり入ってこないので、声が聞きやすくなります。


FMシステム:話す人が持っているマイクから、FMラジオと同じ電波で声を送り、聞く人が持っている機械で受け取ります。動きながらでも使えます。


赤外線システム:これもマイクから送られた声を、赤外線で受け取る仕組みです。壁を通り抜けないので、隣の部屋に音が漏れません。


どこで活躍するの?:劇場や講演会場、教室、お店のカウンターなどで使われています。

良いところは?:周りの余計な音を減らして、聞きたい声をはっきりキャッチできます。


知っておくと良いこと:使うためには、専用の機械や、補聴器に特別な機能が付いている必要があります。設置するのにお金や工事がいることもあります。


7. 目で見て分かる工夫:視覚的(しかくてき)な情報提供


音の代わりに、光や振動、文字などで情報を伝える工夫です。


例えばどんなもの?:

電話が鳴ったり、お客さんが来たり、火事になったりした時に、光や振動で知らせてくれる機械。駅や空港で、電車の時間や飛行機の情報を文字で表示する案内板。お店の窓口に、すぐに筆談ができるように紙とペンを置いておくこと。


良いところは?:

声が聞こえなくても、目で見て情報を知ることができます。


知っておくと良いこと:どこにどんな情報を表示するか、工夫が必要です。すべての情報を目で見て分かるようにするのは難しいこともあります。


8. みんなでできる思いやり:話し方や場所の工夫


上で紹介したような特別な方法だけでなく、周りの人がちょっとした心くばりをすることも、大切な情報支援になります。「合理的配慮(ごうりてきはいりょ)」といって、困っている人がいたら、できる範囲で手助けをしましょう、という考え方にもつながります。


例えばどんなこと?:

話す人が気をつけること:ゆっくり、はっきり話す。口の動きが見えるように話す。一度にたくさんの人が話さないようにする。

場所の工夫:うるさい場所を避ける。部屋を明るくする(口の動きや手話が見やすくなります)。

資料を先に渡す:会議や講演会で使う資料を、始まる前に渡しておくと、内容が分かりやすくなります。


どのサポート方法がいいの?

ぴったりの方法を見つけるためにどの情報支援の方法が良いかは、その人の聞こえ方や、どんなことを知りたいか、どんな場面か、使える道具があるかなどによって、一人ひとり違います。例えば、手話で生活しているろう者の方には手話通訳が一番分かりやすいですが、途中で聞こえにくくなった方や、お年を重ねて聞こえにくくなった方には、文字で伝える方が分かりやすいこともあります。


一番大切なのは、ご本人が「どうしてほしいか」をよく聞いて、いくつかの方法の中から、一緒に一番良い方法を考えることです。また、一つの方法だけでなく、場面に合わせていろいろな方法を使い分けることも大切です。


これからの情報支援:もっともっと暮らしやすい社会へ

情報支援を広めていくためには、まだいくつかの課題があります。


お手伝いできる人が足りない:手話通訳ができる人や、要約筆記ができる人は、まだ足りないのが現状です。特に、地方や、医療や法律のような専門的なお話ができる人は、もっと必要とされています。


お金のこと:情報支援をお願いするのに、お金がかかることもあります。国や自治体からのサポートがもっと増えたり、会社や団体が協力したりすることが期待されます。

新しい技術の可能性と注意点:AIが声を聞き取って自動で文字にする技術などは、どんどん進んでいます。でも、まだ完璧ではなく、間違えることもあります。また、個人の情報を守ることも大切です。


みんなの理解をもっと深めよう:耳の聞こえにくさや、情報支援の大切さについて、社会全体でまだ十分に知られていないかもしれません。みんながこのことをよく知って、当たり前のこととして協力し合える社会になるといいですね。


でも、嬉しいニュースもあります。スマートフォンのアプリで、リアルタイムに字幕を出せるようになったり、AIがもっと上手に音声を認識できるようになったり、CGのキャラクターが手話をする「アバター手話」なんていう技術も生まれています。こうした新しい技術と、人の温かいサポートを上手に組み合わせることで、もっと質の高い情報支援ができるようになるはずです。


最後に:みんなで支え合う社会をめざして

耳の聞こえにくい方への情報支援は、ただ「情報を伝える」というだけでなく、その人が社会に参加したり、自分の夢をかなえたりするための、とても大切な権利です。いろいろな情報支援の方法を知って、それぞれの良いところを生かしながら、困っている方の気持ちに寄り添ったお手伝いをしていくことが、私たちみんなに求められています。


情報支援がもっと当たり前になることは、耳の聞こえにくい方だけでなく、私たちみんなにとっても、もっと暮らしやすい社会につながります。いろいろな人が、情報で困ることなく社会に参加できる「ともに生きる社会」をめざして、私たち一人ひとりが情報支援について理解を深め、できることから始めてみませんか。


 
 
 

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